お山くらし日記

八ヶ岳南麓のくらし

カリモノ

f:id:izumiwakimasu:20201011150247j:plain


長雨の後の晴れ間

潤いを含んだ風が頬を撫でていく

 

来週のフリーマーケットのために

出せそうなモノはないかなーと

納戸でお宝探しをしていると

懐かしい民芸品たちが出てきた

 

それを眺めながら

学生時代 西洋民芸品を売る店で

アルバイトをしていた時に出逢った

個性的な人たちの顔を思い浮かべる

 

休憩時間はお店の並びにあった

骨董品のギャラリーに入り浸っていた

 

 3人も人が入れば良いほどの小さな空間で

ギャラリーと言っても展示品は数点

博物館や美術館と取引をするようなモノを取り扱い

訪問客はそこの主人に会いに来る

その筋の方達くらい

 

ほとんどが紀元前のモノたち

それを気さくに手に取って見せてくれ

時代背景からその時代の技術

そして美術品としての価値などを

美術書と照らし合わせながら

詳しく説明してくれた

 

“すごいだろ“ “美しいだろ“と

ウイスキーグラスを片手に

にこにこしながら

モノたちへの愛を語ってくれた

 

普段はガラス越しで観るような

美しいモノたちと触れ合うことができた

それはそれは貴重な時間だった

 

その主人が言っていた言葉を

ふと思い出した

 

“一時 預かっているに過ぎないんだよな“

 

お金を出して物を買う

それは その物と一緒に過ごす時間を頂いていること

時が来ればまた他の人の元へと移っていく

そんな内容のことだった

 

 

今までそうだったように

気ままにその時 気に入った所に住み、移り...

私は旅をするような人生を送るのだろうと

漠然と思っていた

 

田舎暮らしをしたいと

6〜7年くらいかけて

賃貸物件を探していたのに

 

不思議なご縁で

この土地を購入して住むことになった

 

ここに来るまでは

所有することに違和感があったものの

開拓民のご夫婦が

愛情込めてつくり上げた

庭や森を受け継ぎ

さらに多種多様な生き物や

植物が生きていけるような

そんなところにしたいという想いが生まれ

 

一つ所の自然の移り変わりを

愛でていく

そんなくらしもいいなと

思い始めている

 

購入したといっても

そう 一時 ここの土地に

住まわせてもらうにすぎない

 

言ってみれば

この世の全てはカリモノ

 

自分の肉体も

カリモノ

魂が今生で留まる

入れモノ

 

地球上で

お借りしている間は

大切にして

できれば存分に味わってお返ししたい

 

そんなことに 思いを巡らしつつ

 

フリーマーケットに出すモノたちが

どんな人の元へいくのかが 楽しみになってきた

 

f:id:izumiwakimasu:20201011145158j:plain

 

peraichi.com